近年農業の近代化に伴う哺場整備により、古来からの地名は、その地 の生い立ちを知る生きた文化財ですが、消失され一部の心もとない人 によって消されつつあります。
従ってこの地名を残すべく素人なりに文献を紐解てみました。
私の村に湯の森と言う地名があり、この地は昔から湯が湧いていた 伝説があり、その傍に東向きの薬師さんが祭られています。
古老の話によると東向きの薬師さんのある所には、温泉があるとも伝 えられています。
さらに、その近くの山からは二月になると松茸は生えるとも言われて いました。
しかし、この温泉で不浄の物を洗濯した事によって湯は湧かなくなっ たと伝えられています。
今から五十年程前に、大阪の大学の先生が来て地質調査もされ、村の 有志によってボーリングもし温泉探索をしましたが、温泉はおろか水 も湧かなく断念された経過もあります。
この湯の森は本当に湯が湧ていたのか?
地形的に見ると集落の上にあり、東西の谷が合流した所で堰(ゆね) があった所で、農地の水の配分がされる堰があり、いつの間にか堰が 湯に置き換えられたと考えられます。